美しく青きドナウ An der schönen blauen Donau Walzer

    •  作詞:Franz von Gernerth   作曲: Johann Strauß II, op.314
       日本語訳詞 アルマ・マータ・クワイア   林 茂紀

..ウィーンフィルのニューイヤーコンサートで毎年演奏され「美しく青きドナウ」として日本でも親しまれてきたこの曲が、もとは男声合唱曲として作曲されたことを皆さんご存知でしょうか

..ウィーン男声合唱協会から作曲を依頼されたJ.シュトラウスⅡが1867年に書いた曲に「ご時世なんか気にせず陽気にやろうぜ!」という趣旨の歌詞をつけ、普墺戦争に敗れ意気消沈しているウィーン市民を励まそうと歌いだされたのですが、初演後余り歌われず、1890年に曲名にふさわしい別の歌詞が付けられてから広く愛唱され、やがてオーストリア第二の国歌と呼ばれるようになって今日に至ります。
..日本では堀内敬三作詞版による歌が長年愛唱されてきましたが、今回アルマでは、あえてこの版ではなく、原詩の持つストーリー性を生かした新訳で歌おうと試みました。
..まず作った対訳をもとに、林が訳詞を作り、意見を出し合い、指揮者を中心に皆で歌いながら推敲してきました。その初演です。
..「父なるライン」に対し「母なるドナウ」と呼ばれ、和合・融和の象徴とされるドナウ川への讃歌が、序奏に続く5つのワルツと短いコーダで歌い上げられます。      (林 茂紀)
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.  ドナウよ 青きドナウ 谷越え 野を越え
.   流れゆく わがウィーンへと
.   国々結んで 楽しげに 胸は岸辺で高鳴る

.   黒い森を出て海へ 豊かに流れて
.   たくさんの兄弟のすべてを受け入れる

.   古い城は 高みから 水面に挨拶
.   山々は 輝いて 波間に映り踊る

  2
.   水の精は ささやく 水底で
.   君が見たもの すべてを ささやく

.   それ故 いつでも 新たな歌で
.   君を 晴れやかに 誉めたたえるのだ

.   流れをとどめよ われらのウィーンで
.   ほかにはなかろう こんな街は

.   ゆたかな胸から 喜びあふれ
.   祖国のたましい 果てしなく広がる

 3
.   ラインの流れは兄弟 すばらしいぶどうと
.   確かな護りに 恵まれている

.   だがラインをうらやむことはない
.   ドナウ 君もまた豊かな恵みと その手で
.   祖国を護る

.   心ひとつに かたく結び
.   陽気に歌おう 勇気わすれず
.   ふるさとドナウよ 心ひとつに
.   すべて捧げん いつの世も

 4
.   小舟ゆく 静かに ささやく舟人
.   そなたこそ わたしの 永遠の恋人

.   愛し合うふたりを 護りたまえ!
.   小舟 ふたりを乗せて さあ進みゆけ!

.  若さ 勇気 さわやかに満ちあふれ
.   愛と喜び 最高のしあわせだ!


.   さあ 晴れやかな歌を ともに歌え!
.   喜びにあふれて 高らかに
.   われらの心は ひとつに結ばれ

.  自由と誠実こそが 甦らせるのだ
.   新たなウィーンの街に 祝杯を挙げよ!
.
.  さあ歌おう いま歌おう 晴れやかに
.  われらのドナウ たたえて

.   青きドナウ いつも いつの世も
.   変わらずに 何があろうと
.   われらの心 ひとつに結ぶ 川よ!

. …………………………… 《2019.1》